特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅳ.術前一般検査—異常値の読みとその対策
麻酔のための検査
白土 辰子
1
,
内山 正教
1
1日本大学医学部麻酔科
pp.459-462
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902553
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はじめに
術前の患者の状態を正確に把握することは,麻酔管理上重要な意義をもつ.術前に術者や麻酔科医は,既往歴・現病歴・麻酔歴・家族歴などの聴取に加え,診察による身体所見の把握と術前検査所見の把握とにより,患者の全身状態を評価する.異常所見が認められる場合には,再検査やさらに詳細な検査が行われ,患者の状態を改善するための処置が行われる.異常所見の内容や程度により,麻酔管理方法も必然的に異なってくる.異常の有無にかかわらず,得られた患者の全身状態の情報は,周術期の管理に取り込まれ,手術および麻酔に関連した合併症の発生を防ぐ一助となる.
ところで異常所見の発見について実をいえば,病歴や身体所見で分からなかった異常が,術前のスクリーニング検査で発見されることは,比較的稀である.つまり,麻酔のためにはスクリーニング検査よりもしっかりとした問診と診察がより重要である.
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