特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅱ.特殊な病態の術前患者管理
4.肝・胆道系
肝炎
松田 政徳
1
,
松本 由朗
1
1山梨医科大学第1外科
pp.347-348
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902512
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肝炎合併患者の術前診断
肝臓にびまん性の炎症をきたす疾患のうち,術前臨床的に問題となるのは,ウイルス肝炎,薬剤性肝炎(アレルギー性肝障害),自己免疫性肝炎,アルコール性肝炎である.ウイルス肝炎の中では,A,B,C型ウイルス肝炎が重要であり,診断は各種のウイルスマーカーの血液検査によって可能である,ウイルス肝炎の重症度の判定は,一般的にはトランスアミナーゼ値の上昇の程度によって行われるが,肝臓におけるタンパク合成能による評価や肝生検(特に慢性肝炎)も重要である.薬剤性肝炎は,薬物の内服歴の聴取,末梢血中の好酸球増加,薬物感受性試験(リンパ球培養試験,皮膚試験)などを参考にして診断する.自己免疫性肝炎が疑われた場合は,γ—グロブリン値,抗核抗体,抗平滑筋抗体,抗肝細胞膜抗体,抗アシアロ糖蛋白レセプター(ASGR)抗体,肝腎マイクロゾーム(LKM)抗体などを検索する.アルコール性肝炎の診断は飲酒歴の聴取とALT優位のトランスアミナーゼの上昇,γ—GTPの上昇を参考に診断する.
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