臨床外科交見室
医療事故訴訟について考えること
大﨑 俊英
1
1福山市市民病院外科
pp.72
発行日 1996年1月20日
Published Date 1996/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902189
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医療事故紛争および訴訟の激増は,新聞,雑誌の記事をみるにつけ驚くべきものがある.確かに医療そのものが高度化,先進化してきている現況では,不可抗力といえる場合もあるだろうが,大部分は医師と患者およびその家族との信頼関係の破綻により引き起こされるケースではないかと思われる.学生時代,臨床研修のときにいつも携えていた内科診断学の本に,医師患者関係(doctor-patient rela—tionship)がいかに大切であるかということがまず書かれていたような気がする.
医療事故訴訟の新訴提起数は,昭和45年度が102件,昭和55年度が310件,昭和63年度が381件,平成6年度が504件と加速度的に増加し,1年間の訴訟係属件数は1,500件以上となっているが,これはあくまで氷山の一角であって,訴訟にならず示談で解決された事故件数はその何倍にも膨れ上がるものと推測される.
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