特集 術後1週間の患者管理
Ⅱ.合併症を有する患者管理
間質性肺炎と肺線維症
高崎 雄司
1
1東海大学健康科学部
pp.318-320
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902076
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手術後1週ないしは10日以内といった術後短期間の間に発生する死亡の原因には,術後合併症が最も多いことが知られている.さらに,様々な術後合併症のうちでも,無気肺や術後肺炎などの術後の肺合併症は,胸郭内や上腹部の手術に最も高率に発症する1)とともに,これら術後肺合併症の発生率は,術前に実施する呼吸機能検査の障害の程度と有意に相関することも多数の報告によって明らかにされてきた2).したがって,間質性肺炎や肺線維症に基づく呼吸機能障害も,障害の程度が高度になればなるほど高率に術後肺合併症を合併することも予想できる.しかし,呼吸器疾患と術後合併症の関係に関する報告の大多数が,肺気腫症などの閉塞性換気障害としての呼吸機能障害を解析したものであり,間質性肺炎や肺線維症などに伴う拘束性換気障害の程度と術後肺合併症の関連はいまだ不明といわざるを得ない.
本稿は,間質性肺炎や肺線維症患者における呼吸機能障害と,術後肺合併症の関係を記述することを目的としている.しかし,ここでは本病態における呼吸機能障害の特徴を概説するとともに,呼吸機能障害と術後肺合併症の関係,術後肺合併症の予防につき述べていく.
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