綜説—今月の臨床
膵頭(十二指腸)切除術—最近の変遷
田中 雅夫
1
1九州第学医学部第1外科
pp.339-343
発行日 1994年3月20日
Published Date 1994/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901503
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Ⅰ.はじめに
膵頭部癌,乳頭部癌、十二指腸癌,中・下部胆管癌などの膵頭十二指腸領域の悪性疾患,あるいは良性疾患であっても膵頭部の切除を必要とする場合には,一般に膵頭十二指腸切除術(Pan-creatoduodenectomy, PD)が行われる.
PDが初めて施行されたとき,胃および幽門輪は温存されていた1).その後,PDに胃切除術が併施されるようになり,30数年にわたり標準術式として広く行われてきた.ところが,最近再び,消化管機能温存の立場から全胃幽門輪温存のPD(Pylorus-preserving pancreatoduodenectomy,PPPD)が注目され,盛んに施行されるようになった.現在の形の本術式を最初に行ったWatson2)は乳頭部癌を対象としたが,最近では十二指腸癌,下部胆管癌,膵頭部の腫瘤形成性慢性膵炎,嚢胞性病変などや乳頭部領域の良性疾患も適応とされ,さらに膵頭部癌にさえも行われるようになってきている.
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