Japanese
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特集 MRSA感染症対策の実際
MRSA腸炎の診断と治療
Clinical diagnosis and therapy of enterocolitis caused by MRSA (methicillin resistant Staphylococcus aureus)
岩井 重富
1
,
田中 日出和
1
,
阿久津 昌久
1
1日本大学医学部第3外科
キーワード:
MRSA腸炎
,
バンコマイシン
Keyword:
MRSA腸炎
,
バンコマイシン
pp.741-748
発行日 1993年6月20日
Published Date 1993/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901178
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外科領域でのMRSA感染症のうち,MRSA腸炎は最も重篤な病態を呈する.早期の的確な診断と治療が最も重要である.ほとんどが術後に発生し,臨床症状は術後早期に頻脈を伴う高熱と頻回な水様性下痢が発生する.経鼻腔排液管からの胃腸液の増加が認められ,悪心,嘔吐,腹部膨満,腹痛などのイレウス症状が出現する.腹部X線撮影では小腸ガスの増量を認める.白血球数は増多,減少の両者がみられる.胃腸液,水様便のグラム染色も有用である.コアグラーゼ型はⅡ型,エンテロトキシン型はAC型が多い,TSST-I toxinの産生株が多い.MRSAのmecA遺伝子の検出により,PCR法を用いての迅速診断もある.治療はvancomycinの経口投与が最も一般的である.
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