特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅴ.併存疾患をもつ外科患者の薬物療法
2.分裂病
小林 正信
1
,
吉松 和哉
1
1信州大学医学部精神科
pp.150-151
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900975
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分裂病の本態については,残念ながら今日においてもなお納得のいく十分な解明がなされてはいない.しかし,薬物療法,精神療法,社会復帰訓練などの治療実践のある程度の成果が物語っているように,この疾患が生物学的次元に疾病の根拠をもちながらも,同時に心理的次元さらには社会的次元の問題にも深く重なり合い慢性化しやすい臨床的疾患単位であることは認めてよかろう.それゆえ,外科的処置においても,分裂病のそうした多次元性を踏まえつつ薬物療法の奏効を図る必要がある.
さて,手術を受ける分裂病の患者には,①単に偶然の合併である場合以外に,②例えば自傷行為のような,分裂病の症状の結果として外科的処置を受けることになる場合や,③逆に手術を受けることが分裂病の症状に何等かの重大な影響を与えその対処に迫られる場合など,他の合併疾患とは異なった特異性がある.
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