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特集 青年期の精神病理
青年期と精神分裂病—「破瓜型分裂病」をめぐっての一考察
Adolescence and Schizophrenia: A consideration of "hebephrenic schizophrenia"
村上 靖彦
1
Yasuhiko Murakami
1
1国立療養所東尾張病院
1Higashi Owari National Mental Hospital
pp.1241-1251
発行日 1977年12月15日
Published Date 1977/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202692
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I.はじめに
われわれはここ数年来,「思春期妄想症」について何度か報告してきた1〜4)。それは,これが分裂病から区別されるところの,そして分裂病とともに青年期を代表するところの,今一つの重要な臨床単位と考えたからであった。われわれが「思春期妄想症」の名のもとに特徴づけようとした病態とは,要するに「自己の身体の何らかの欠陥のために,まわりの人達に不愉快なかんじを与えている」との妄想的確信であり,臨床的には,自己臭妄想あるいは自己視線恐怖に代表されるが,その他にも,自己の「容姿,容貌,表情」,さらには自分のかもしだす「雰囲気,緊張感」など,自己の存在そのものをめぐって同様の確信を抱く症例も含まれる。
思春期妄想症は上記の定義に従って,臨床的にも比較的輪郭の明らかな病態であるが,しかし常に分裂病との区別が容易であるとは限らない。ときには,思春期妄想症の一特殊型ないしは重症型として,彼らの妄想的確信の中核である身体的欠陥が不明確となり,その確信が人格的欠陥へと移行するに伴い,分裂病とまぎらわしい病像を呈するものが現れる。彼らは人を避け,とじこもりがちな生活を送る上に,時折,分裂病類似の異常体験や,妄想的確信を出没させるために,しばしば「分裂病」の診断を受け,「破瓜型分裂病」の名のもとに「非妄想型」分裂病と混同される。つまり一般に「破瓜型分裂病」と診断される分裂病には,精神病理を異にする2つの類型が考えられる。その一つは,われわれが提唱している思春期妄想症の延長線上にある思春期妄想症の一特殊型であり,今一つは「非妄想型」分裂病に属する内因性精神病である。
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