特集 外科患者・薬物療法マニュアル
Ⅲ.術前・術後管理における薬物療法の実際
5.門脈圧亢進症手術
三條 健昌
1
1東京大学医学部第2外科
pp.88-90
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900949
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門脈圧亢進症は,本来,肝臓を経て下大静脈に流入する門脈系の血流が肝臓をはじめとする途中の血管系に血流障害をきたし,門脈圧が上昇する結果発生する.合併症には,腹水,肝性脳症,胃食道静脈瘤,脾機能亢進症などがある.門脈圧亢進症の血行動態には,3つの要因が関与する.すなわち,門脈流出路に生じた肝内外の血管抵抗の増大(肝硬変,特発性門脈圧亢進症,肝外門脈閉塞症,Budd-Chiari症候群,日本住血吸虫症などが原疾患となる),門脈圧の上昇に伴って発達した食道静脈瘤をはじめとする側副血行路の血管抵抗と,原疾患の進行とも関与し,脾腫などに伴う門脈系に流入する血流量の増大である2).
したがって,門脈圧亢進症の薬物療法は,原疾患の病態に応じて行う必要がある.表1に示したように各臓器の変化に対応した的確な薬物療法が要求される.全身性の疾患であること,臓器相関があること,薬物代謝が低下していることを認識して薬物療法を実行することが基本方針となる.
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