特集 肛門疾患診療の実際—私の方法と根拠
設問
Ⅴ.裂肛手術について
衣笠 昭
1
,
竹馬 浩
2
,
升森 茂樹
3
,
高野 正博
4
,
住江 正治
5
,
隅越 幸男
6
,
岩垂 純一
6
1松島病院
2チクバ外科胃腸科肛門科病院
3野垣病院
4大腸肛門病センター高野病院
5水前寺大腸肛門科医院
6社会保険中央総合病院大腸肛門病センター
pp.903-916
発行日 1992年7月20日
Published Date 1992/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900846
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肛門部の外傷といえる裂肛には,急性期の初期の裂創底部に縦走線維の走行が見えるようなものから,慢性化し,深く潰瘍状になり,潰瘍底部には横走する内括約筋が露出して見え,肛門狭窄が強度になり,潰瘍の口側には肛門ポリープ,肛門側には皮膚痔などの合併病変を伴うようになったものまで,様々なものがある.このような裂肛の治療には,保存療法,用指的に肛門拡張を行う肛門拡張法,狭窄やspasmsを取り除くために内括約筋を側方で切開する内括約筋側方皮下切開術,そして皮膚弁移動術などがある.
単に肛門を用手拡張する肛門拡張法も,拡張の加減は難しいものがある.内括約筋側方切開術は程度の軽い裂肛に盛んに行われるようになった方法で,外来で局麻下でも行われている.皮膚弁移動術Sliding Skin Graft(SSG)法は,狭窄を生じている瘢痕部分や,肛門ポリープ,皮膚痔などの合併病変部を切除し,十分に肛門を拡張,そして,切除創において粘膜皮膚縫合を行い,その縫合部外側に減張切開を加えて皮膚弁を移動させる術式である.どちらかというと,最近では進行した裂肛に行われる.
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