特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
f.肝・胆・膵・脾術後の合併症
総胆管空腸吻合の縫合不全
内村 正幸
1
,
脇 愼治
1
,
成田 一之
1
1県西部浜松医療センター外科
pp.298-300
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900658
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■はじめに■
膵頭部領域癌や総胆管良性狭窄,肝内結石など器質的胆汁排出障害に対して,うっ滞した胆汁を消化管に誘導する胆道再建には,肝内胆管を利用する場合と肝外胆管を利用する場合に大別することができる.後者のうちで総胆管ないしは総肝管と消化管とを吻合する術式は最も基本的な胆道再建術であって日常の臨床にしばしば用いられる.
従来,肝内結石や根治手術不能な膵頭部領域癌では,総胆管と切離挙上した空腸とを側々吻合する総胆管空腸側々吻合が広く用いられてきた.しかし,この方法では胆汁流出路が2経路となることから,末端部の狭窄の強い場合は下部胆管がblind sacとなってsump syndrome,結石形成,胆管炎のもととなるところから,最近では,胆管を吻合予定部で切除離断し,空腸と端側あるいは端々吻合する方法が多く用いられている1,2).
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