特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
e.消化管術後の合併症
胃亜全摘術後の残胃血行障害
丸山 圭一
1
,
笹子 三津留
1
,
木下 平
1
1国立がんセンター外科
pp.266-267
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900643
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■病態・病因■
胃壁内,特に粘膜下層には血管網がよく発達しているので,devascularizationによって血行障害を起こすことがない(図1).そして,胃亜全摘を行った後の残胃の血行は,脾門部からの短胃動静脈によって大部分供給される.
脾を温存して脾門リンパ節を郭清する手技として,陣内はいわゆる“すだれ郭清”を提唱した1).これは,膵脾を脱転したのち,脾門の脂肪性結合組織中に生食水を注射して血管を遊離し,この短胃動静脈のみを温存して,その他の組織をすべて切除する方法である.温存された細い4〜6本の短胃動静脈がちょうど“すだれ”のように脾門部から残胃の大彎に残り,脾門リンパ節と脾動静脈幹リンパ節は完全に郭清されるわけである.
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