特集 術前・術後管理 '91
H.術後合併症の対策
d.開腹術後の合併症
横隔膜下膿瘍
加賀美 尚
1
1埼玉医科大学総合医療センター救命救急センター
pp.250-251
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900637
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■原因■
術後にみられる横隔膜下膿瘍の原因には,次のようなものがある.①消化管の縫合不全,②腹腔内の汚染,③そのほか腹腔内の異物の残存などである.このように列挙してみると,術後の横隔膜下膿瘍はいずれの原因によるものであれ,手術時の注意深い操作や配慮によってある程度避けることのできる合併症であるともいえよう.ちなみに,最も多いのは縫合不全である.
極めて稀な異物による場合は別にして,縫合不全や汚染による症例のなかには,適切なドレーンが挿入・留置されていれば,横隔膜下膿瘍を形成するまでには至らない症例も少なくないように思われる.
横隔膜下膿瘍は,時期を失わず適切な処置が行われなければ,敗血症,ショック,DIC,多臓器不全へと進展する危険が高い重大な合併症である.
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