特集 術前・術後管理 '91
D.特殊病態患者の周術期管理
Cushing症候群患者の周術期管理
小原 孝男
1
1東京女子医科大学内分泌外科
pp.102-103
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900578
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■病態と周術期の問題点■
Cushing症候群は,副腎からのコルチゾール過剰分泌による疾患である.その病因は大きく,下垂体性,副腎性,異所性に分けることができる.Cushing症候群の約6割は,下垂体または視床下部からのACTH過剰分泌で起こり,Cushing病と呼ぶ.残りの狭義のCushing症候群は,わが国ではほとんどが副腎腫瘍に原因があり,異所性ACTH産生によるものは少ない.副腎腫瘍のほとんど大部分が腺腫であり,稀に癌腫や結節性異形成・結節性過形成の場合がある.
一般・内分泌外科医が手術対象とするCushing症候群は主として副腎腫瘍である.Cushing病の原因は多くが下垂体腺腫にあり,その治療は脳神経外科医の専門分野である.今日では,例外的な症例が副腎皮質の過形成に対しての手術適応になる.手術方法として,腺腫・癌腫には患側の副腎摘除,過形成・異形成には両側副腎全摘が基本である.腺腫に副腎部分切除を行い,また過形成に亜全摘または全摘・一部皮質の自家移植を行う方針の施設がある.
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