カラーグラフ Practice of Endoscopy
胃・十二指腸内視鏡シリーズ・ⅩⅤ
胃マーキング法—点墨生検法
高木 國夫
1
1林外科病院
pp.657-660
発行日 1991年6月20日
Published Date 1991/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900446
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はじめに
胃粘膜にマーキングする目的は,主として胃癌の粘膜内浸潤範囲の診断であり,また切除標本の病理検査で組織所見と肉眼所見ならびに内視鏡所見との対比である.とくに胃中部早期癌の噴門側への粘膜内浸潤を知ることは,切除断端癌陽性による残胃の癌遺残の防止に極めて有用である,
かかる目的のために,胃マーキングの方法には,色素の胃壁内注射1),高周波メスによる粘膜凝固2),クリッピング3)などがある.これらの方法は粘膜のマーキングはできるが,マーキングした部位の組織所見を知ることができないのが最大の欠点である.マーキングと同時にマーキング部位の組織所見を知ることが重要である.われわれは,氏家ら1)の胃壁内注射法に準じて,直視下胃生検法を応用した点墨法を1971年来早期胃癌の噴門側浸潤範囲の決定に用いている4,5).更に早期胃癌の内視鏡的切除ならびに早期胃癌の縮小手術として検討される局所切除に際しても,癌の粘膜内浸潤範囲の組織学的判定に点墨生検法を用いていることを述べる.
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