特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
下肢血行障害(ASO,Buerger病)
外科から
江里 健輔
1
,
大原 正己
1
1山口大学医学部第1外科
pp.1659-1663
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900297
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いかなる疾患であれ,「手術すべきか,すべきでないか」は常にcontroversialな議論となる.この問題は内科的あるいは外科的治療の進歩に依存するので,議論が時とともに変遷するのは当然であろう.下肢血行障害治療法選択も例外ではない.ただ,慢性下肢血行障害の治療が患者の生命予後に直接関与することは少なく,quality of lifeの向上,肢切断の予防に関与する面が大であることが他の疾患と根本的に異なる.したがって,慢性下肢血行障害—閉塞性動脈硬化症ASO,閉塞性血栓血管炎TAO—の治療法選択には本症の自然歴をも十分理解しなければならない.本稿では慢性下肢血行障害のうち,主として間歇性跛行を呈するASOについて,保存的治療の適応と限界を当教室の成績を踏まえて血行再建術と対比しながら論じたい.
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