特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
痔核・痔出血
外科から
高野 正博
1
1大腸肛門病センター高野病院
pp.1441-1446
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900241
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生来痔核を生じる傾向がある人は,青年期〜壮年期にかけて,外的要因が加わるにつれて痔核が増大し,脱出傾向が出てくるとともに症状を伴うようになる.
従来から痔核の治療方針としては,Ⅰ度—保存療法,Ⅱ度—外来処置,Ⅲ〜Ⅳ度—手術療法と分けられている.これは現実に則した分類であるといえる.しかし痔核の場合は,肛門の衛生によって症状をコントロールできる,保存療法がかなり効を奏する,度数が進んでも症状がそれほど強くならない症例も少なくない,癌化の可能性がない,などの理由から,その治療は患者の希望にそって行われることが多く,この点で他の疾患とは治療の適応が異なっている.この論文では,このような問題を中心に,痔核の発生と経過,保存療法・外来処置,保存療法の限界などについて述べていく.
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