今月の症例
微小癌を伴う小胃癌の1例
芦田 潔
1
,
鄭 鳳鉉
1
,
林 勝吉
1
,
浅田 修二
1
,
平田 一郎
1
,
大柴 三郎
1
Kiyoshi Ashida
1
1大阪医科大学第2内科
pp.1262-1264
発行日 1990年11月25日
Published Date 1990/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403111536
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〔患者〕58歳,男性.主訴:全身倦怠感.1978年に糖尿病を指摘されたが,食事制限および禁酒を励行できなかった.1982年に全身倦怠感,食欲不振を来し,このとき肝炎の合併を指摘された.その後もときに,多飲・多尿,全身倦怠感を覚えることはあったが,放置していた.1988年3月初旬より全身倦怠感が次第に増強するため5月に本院を受診した.糖尿病および肝硬変の診断のもとに,6月9日に入院となった.入院加療によって自覚症状は消失したが,6月21日に行われたルーチン内視鏡検査において胃前庭部前壁にわずかな粘膜集中を伴う病変がみられ,胃生検の結果,GroupVと診断された.
〔胃X線所見〕立位充盈,腹臥位充盈ならびに背臥位二重造影において,異常は指摘できなかった.腹臥位二重造影(Fig. 1)において前庭部前壁にわずかな粘膜集中を伴う星芒状の浅い陥凹性病変が認められた.X線上,陥凹部の大きさは5×4mmであった.また,この陥凹部を取り囲むように結節状の隆起が存在した.圧迫法(Fig. 2)でも浅い陥凹性病変とそれを取り囲む結節が明瞭に描出された.
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