特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
食道・胃静脈瘤
内科から
谷川 久一
1
,
井上 林太郎
1
,
豊永 純
1
1久留米大学医学部第2内科
pp.1349-1353
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900218
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食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法(EndoscopicInjection Sclerotherapy;以下EIS)の歴史は古く,1939年のCrafoord1)の報告まで遡る.わが国では1978年,高瀬ら2)により開始されたが,その間,各施設で手技,使用薬剤に多少の差異はあるが,静脈瘤に対する1つの治療法として確実に発展し,一応完成の域に達した.
EIS導入の当初は,まだ外科療法が主流であり,緊急例,手術不能例,手術拒否例など手術に代わる次善の策として考えられていた.しかし,EIS手技の確立とともに内視鏡機器の進歩と普及,硬化剤研究の進歩により,緊急例に対しては既に第一選択の治療法となり,その適応は予防例にまで拡大され,食道静脈瘤硬化療法研究会の全国アンケート調査でもEIS施行例の45%を予防例が占めるにいたっている3).
しかし,食道・胃静脈瘤は肝硬変症に合併する副病変であるための治療限界があり,また種々の未解決の問題をかかえているのも事実である4).本稿では,教室の成績を中心にEISの問題点を明らかにし,緊急例,待期例,予防例別にその適応と限界について述べる.
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