書評
—北川雄光(監修) 宮澤光男,竹内裕也(編)—消化器内視鏡外科手術バイブル—動画で学ぶハイボリュームセンターの手技
袴田 健一
1,2
1弘前大病院
2弘前大大学院・消化器外科学・小児外科学
pp.543
発行日 2024年5月20日
Published Date 2024/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214529
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北川雄光先生監修,宮澤光男先生,竹内裕也先生編集による本書は,わが国を代表するハイボリュームセンターにおける消化器外科内視鏡手術の実際を,数多くの手術動画とわかりやすい解説で学ぶことのできるぜいたくな手術書である.ほぼ全ての消化器領域の手術を網羅し,エキスパートチームで培われたノウハウが惜しげもなく記載されており,どの世代の外科医にとっても,日頃の疑問に答え,より良い手術に導いてくれる,真にバイブルと呼ぶにふさわしい待望の一冊である.
ページを開いてまず驚かされるのは,動画の多さである.手術操作ごとに細かく区分され,簡潔明瞭な解説文と連動して配置されている.さすがハイボリュームセンターで練られた動画だけあって,映像の精緻さ,撮像の角度,カメラワーク,尺の長さ,いずれも申し分ない.動画を見るだけで,手術手技のコツと技術習熟の到達点をイメージすることができる.また,動画視聴だけではわからないポート配置などはイラストで具体的に表現されているため,型通りの冗長な解説が不要となり,内容の濃さとは裏腹に紙面構成がすっきりしている.質の高い動画とイラストが簡潔な解説文とリンクして配置され,記載分量や紙面構成が統一されているため,とても見やすく,読みやすい.おそらくは,左手で本を開き,右手でスマホを操作して動画視聴しながら利用することを想定されているのであろう.読者の目線や利用法への編者の配慮が強く感じられる.
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