故北川淏先生追悼
故北川淏先生の御逝去を悼む
川井 博
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1日本医科大学泌尿器科
pp.381
発行日 1970年4月20日
Published Date 1970/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200914
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昭和44年8月中旬北川先生には突然脳血栓による脳軟化症にて病床に臥され,本学新内科に御入院加療を続けて居られましたが,昭和45年1月18日早朝,教室あげての治療も効なく逝去せられました。翌日御自宅で密葬が,次いで1月24日大学葬が駒込吉祥寺にて盛大に行なわれました。
先生は第4高等学校を経て,大正12年3月東京帝国大学医学部を卒業して皮膚泌尿器科教室に入り,土肥慶蔵先生に師事されました。当時泌尿器科学は皮膚科学を母体として講義が行なわれている時代でようやく我国においても泌尿器科学の独立の必要性が認識され慈恵医専,九州大学で泌尿器科学講座が設立されたばかりてありました。当然先生も皮膚科学を主体に研鑚をつまれ,その学位論文も「先天性ヘマトポルフィリン症ならびにその実験的研究」でありました。そして先生は大正15年3月には日本医専の皮膚科泌尿器科教授に就任され,皮膚科学泌尿器科学の講座を担当せられました。そして昭和22年まで本学において皮泌の両科を担当しておられましたが,戦後昭和22年に両科が分離して皮膚科学は現名誉教授の丸山千里教授が講座を担当せられるようになりました。そのために先生のお仕事は昭和の初めには皮膚科学に関するものが多く主な論文としては「急性湿疹のインシュリン療法」,「サルバルサン中毒の予防と治療」あるいは「鼠蹊淋巴肉芽腫症に関する研究」等をあげることができます。
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