同心円状モデルで読み解く 新しい食道外科解剖・10
食道裂孔部—近くて遠い食道裂孔
藤原 尚志
1
Hisashi FUJIWARA
1
1東京医科歯科大学 消化管外科学分野
pp.1519-1529
発行日 2023年12月20日
Published Date 2023/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214384
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Introduction
実は食道裂孔はいまだ消化器外科医にとって十分な知見が得られていない未踏の地ではないだろうか.開胸・開腹の時代では,どちらからのアプローチでも最も遠い,よく見えない部分であった.そして胸腔鏡・腹腔鏡の時代となった今でも,いくらかは見やすくなったものの,今度は腹臥位と仰臥位というアプローチの体位の違いのため同時に上下から確認することができず,正確な全体像がいまだつかめていないように思う.
また,この部分の解剖理解を難しくしているもう一つの要因は,さまざまな程度の食道裂孔ヘルニアの存在であろう.本稿で述べる私見も,食道裂孔ヘルニアの程度によっては当てはまらないケースが間違いなくあると感じている.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.