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はじめに
本邦では,米国で開発されたDa Vinci S Surgical System(以下,Sシステム)が手術支援ロボットシステム(Robot-Assisted Surgical System:RASS)として2009年に初めて製造販売承認され,臨床応用されるようになった.その後,Da Vinci Si Surgical System(以下,Siシステム)が機能,操作性,教育面においてアップグレードされ,さらにDa Vinci Xi Surgical System(以下,Xiシステム)が,システムの小型軽量化に伴い操作性,安全性の向上,器具の多様化などを中心にバージョンアップされた1).一方,Intuitive社が取得した多数の特許権により他企業でのRASSの開発は遅れていたが,2019年には特許権の有効期限切れにより各企業が開発を進めている.本邦では,2015年よりシスメックス社とMedicaroid社が共同開発を進めてきたhinotoriTM Surgical Robot System(HSRS)の完成を受け,2020年8月泌尿器科,2022年11月には消化器・産婦人科手術の製造販売承認を得た2)(図1).現在までにマスタースレーブ型のRASSが製造販売承認されているのはDa Vinci Surgical System(DVSS),HSRS,Hugo Robot-Assisted Surgical System(コヴィディエンジャパン社)である.今後,マスタースレーブ型ではない機種も含め,多くの企業から次々にRASSは開発されてくることが予想される3).
当院では2008年にSシステムが導入され,胃癌手術を先頭に自費診療においても各外科系診療科が次々とDVSSを使用した手術を積極的に導入してきた4〜7)(図2).アップグレードされたSiシステム,さらに画期的なバージョンアップがされたXiシステムが製造販売承認後,順に導入された.2018年には12術式の保険収載やDVSSによる手術症例件数が急激に増加したことも受け,機種の変更追加が行われた.さらに2020年にはHSRSが製造販売承認後導入され,現在ではXiシステム3台に加え,HSRSの1台が導入されている(図1,2).
現在複数のDVSSを導入する施設は多いが,今後,他企業の開発が進むなかで異なる機種を導入する施設も増加することが予測される.異なる機種を同時に運用することは問題点も出てくる.本稿では,著者らの経験をもとにその問題点とその対策について解説する.
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