書評
—藤田尚男,藤田恒夫(原著) 岩永敏彦,岩永ひろみ,小林純子(改訂)—標準組織学 総論 第6版 —藤田尚男,藤田恒夫(原著) 岩永敏彦,渡部 剛(改訂)—標準組織学 各論 第6版
内山 安男
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1順大老人性疾患病態・治療研究センター
pp.289
発行日 2023年3月20日
Published Date 2023/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214060
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藤田・藤田の『標準組織学』は,総論と各論からなる大冊です.教科書は,その時点で科学的に事実と認められている事象を基に書き上げることが必要です.これを徹底すると,教科書ほどつまらない読み物はありません.しかし,個人で書き上げる教科書は,事実に基づく記載に独自の味付けをすることで面白くなると考えられます.今や故人となられた藤田恒夫先生と藤田尚男先生の手による『標準組織学』は,その典型であると思います.
藤田恒夫先生が本書第4版の執筆時,岩永敏彦先生に多くを依頼されていたことを記憶しています.版を重ねるごとに,岩永先生の免疫組織細胞化学の技が随所にちりばめられるようになりました.岩永先生は,藤田恒夫先生の下で,免疫染色を武器に消化管をはじめさまざまな領域のペプチドホルモン産生細胞(脳腸ペプチドホルモン)の研究を進めてきました.その後,独立して北大に移り,獣医学部,医学部と経験され,第5版で『標準組織学』の改訂者になられています.本書はフォローしている論文の数だけでも膨大です.この5〜7年間で,新たに加える事項と切り捨てる事項を調べるだけでも大変な作業です.藤田恒夫先生は科学者であるとともに文筆家でもあり,非常にたくさんの本を世に出されました.岩永先生も形態関連の本を出版されていますが,筆まめな先生でないと,この大著を仕上げるのは至難の業かもしれません.
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