連載 ほんとの話をしようよ—直子の車椅子探訪記・8
「だれか返事をして」—藤田和子さん
滝野澤 直子
pp.752-755
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905151
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津軽平野はどこまでも広く,大きな青い空にはまぶしい太陽がよく似合っている.
この広大な農村地帯でひとり暮らしを始めて,1年が過ぎた.私がいるのは福祉ホーム.身体障害者向けのケアつきのアパートで,必要なときにコールボタンを押せば,ケアスタッフがすぐに来て用事を足してくれる.見た目はちょっと長屋ふうで「施設」っぽいけれど,実質は1Kの部屋の住人でそれぞれが世帯主になっていて家賃も払う.よく「外泊してもいいの?」って聞かれるけれど,もちろんオーケー.私たちはみんな独立した大人だもの.
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