書評
『標準組織学』を手に,始めよう医学の勉強を!「標準組織学 各論 第5版」藤田 尚男,藤田 恒夫●原著 岩永 敏彦,石村 和敬●改訂
後藤 薫
1
1山形大・解剖学
pp.504
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200716
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『標準組織学 各論』の改訂第5版が7年ぶりに出版された。この本は,総論と合わせて執筆者の名前を冠した「藤田・藤田の組織学」として知られており,1976年の第1版から40年以上の長きにわたり,医学生や研究者に読まれてきた日本オリジナルの教科書である。当時医学生だった私自身は第2版との出合いに始まり,改訂版を購入し続け現在,第5版を手にして今日に至る。書棚に並ぶ「藤田・藤田の組織学」を眺めていると,学生時代に奥深い組織学の知識と格闘した日々,そして教鞭を執り始めた頃に何度も読み込んだ日々が,懐かしく思い出される。
さてその内容であるが,初版から本書の根底をなす理念,すなわち“それぞれの事象の単なる記載だけではなく,それにまつわる歴史や物語を入れて,どのようにしてその構造が明らかにされてきたか,将来どのような問題が残っているかをおのずと感じてもらえるような楽しい本にしたい” “わが国の研究業績を紹介し,できるだけそれに立脚して議論を進めたい”という熱い思いが伝わってくる。改訂を経るにつれ図版が刷新され新たな模式図が付加されてきたが,とりわけ第5版では,免疫染色を含めた光学顕微鏡のカラー写真がさらに増えた点と,ソフトカバーになり,見開きが良くなって紙面に鉛筆で簡単に書き込みができるようになった点が,大きな特徴である。
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