同心円状モデルで読み解く 新しい食道外科解剖・1【新連載】
右上縦隔—縦隔の左右対称性を見抜く
藤原 尚志
1
Hisashi FUJIWARA
1
1東京医科歯科大学 消化管外科学分野
pp.86-97
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214013
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
連載を始めるにあたって
“同心円状モデル”は,私が2012年に食道外科医となって以降この10年間に食道癌手術に取り組むなかで,外科手術の土台である解剖をとことん考え尽くした成果です.そしてこの10年の成果をこのたび連載という形で発表する機会をいただきました.
私は2012年(卒後6年目)に食道外科の道に踏み入る以前の3年間を東京医科歯科大学の一員として,その関連病院(JAとりで総合医療センター,土浦協同病院)で一般消化器外科研修を受けていました.虫垂炎,胆囊炎,鼠径ヘルニアの手術に始まり,大腸癌,胃癌などの手術を担当するようになり,いろいろな手技を学び覚え,とても楽しく充実していた一方で,どこか満足しきれない,不安な気持ちがありました.その原因は「一体そこがどうなっているのか」ということがなかなかわからなかったためでした.先輩方は百戦錬磨の外科医であり,とても丁寧に(かつ優しく!)手術指導をしてくださるので「どうすればいいか」は教えてもらえるのですが(もちろん大事!),ただ一方で「どうなっているのか」についてはなかなか明快に(私が納得のいく形で)説明してはもらえませんでした.どうなっているかわからなければ次の機会にうまくできる保証はない! と不安だったのです.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.