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新潟白根総合病院は新潟市南区(平成の市町村大合併前は白根市)に位置する.信濃川・阿賀野川の二大河川によって育まれた広大な蒲原平野(新潟平野)のほぼ中央である.沖積平野の成立には何万年もの時が必要であったが,目に見える地政学的特長を一言で言うなら,全く起伏のない平坦さといえる.多数の潟が人工的な排水によって,肥沃で広大,平坦な田園地帯を形成したのだ.しかしながら,上流から運ばれた土砂は絶えず川床に堆積し,度々に川の氾濫を誘発するため,土手は高く,高く盛られてきた.地域で一番高い地点は,建物を除くと橋の上かもしれない.文化的にも,喧嘩大凧は大河を挟んで両岸から太い綱を引き合い,綱がちぎれた側の負けとなる.これは土手の決壊と氾濫を模しているのか? 一方の土手が決壊すれば,もう片方の土手は無事なのである.
この大凧がなびく空の下に病院が設立されたのは1957(昭和32)年であり,1973(昭和48)年には現在の地所に病院を新築移転し,さらに数年後には増床して現在と同じ規模の病院となっている.戦後,人口は増加してきたが,交通手段も未発達な田園地帯に人を頼りに財源を募り,病院を建築したと聞いている.1975(昭和50)年ごろからは外科は3名体制であり,当時としては活気あふれる外科であったことが伝わっている.現体制の外科は,2013(平成25)年に2名が着任し,新潟大学消化器・一般外科からの出張医1名を加えて3名体制となったことが出発点である.前体制を引き継いだのではなく,全く新しい外科を立ち上げたことによる.小さいながらに緩むことなく日本外科学会専門医制度修練施設となり,また日本消化器外科学会に関しては新潟大学消化器・一般外科の関連施設となっている.2年前には慶應義塾大学の外科教室から1名の着任をいただき,現在は4名体制となっている.
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