増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために
Ⅲ 小腸・大腸
悪性疾患
右半結腸切除術
米澤 博貴
1
,
平能 康充
1
Hiroki YONEZAWA
1
1埼玉医科大学国際医療センター消化器外科(下部消化管)
キーワード:
腹腔鏡下結腸癌手術
,
手術手技
,
解剖
Keyword:
腹腔鏡下結腸癌手術
,
手術手技
,
解剖
pp.103-107
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213892
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大腸癌治療ガイドラインでは,結腸癌における腸管傍リンパ節の範囲は腫瘍と支配動脈の位置関係によって定義されている.本邦では,結腸癌に対するD3郭清は腸管軸方向の腸管傍リンパ節と中枢方向の中間/主リンパ節を郭清するのが標準的であるが,右側結腸癌に対する右半結腸切除術では,回結腸動脈(ileocolic artery:ICA),右結腸動脈(right colic artery:RCA),中結腸動脈(middle colic artery:MCA)右枝の3本の主幹動脈のどの血管を支配動脈と想定し郭清を行うかの判断も必要となる.また,右側結腸の血管の分岐形態にはバリエーションが多いとされており,D3郭清を伴う右半結腸切除術では複雑な血管分岐を理解したうえで,術中に血管を同定し適切なリンパ節郭清を行う必要がある1-3).特に右結腸静脈(right colic vein:RCV)・中結腸静脈(middle colic vein:MCV)・胃結腸静脈幹(gastrocolic trunk:GCT)の分岐形態は非常に多様であり,膵頭部と十二指腸が近接していることからも難易度の高い手術手技とされる.
本稿では,手術中の血管損傷の可能性を低減するために必要な術前CT画像での血管解剖の把握のポイントと手術のポイントについて,通常の手術で処理する血管の順に解説する.
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