増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために
Ⅲ 小腸・大腸
悪性疾患
左半結腸切除術
小杉 千弘
1
,
幸田 圭史
1
,
清水 宏明
1
,
山崎 将人
1
,
首藤 潔彦
1
,
碓井 彰大
1
,
野島 広之
1
,
村上 崇
1
,
松本 智弘
1
,
内山 まり子
1
Chihiro KOSUGI
1
1帝京大学ちば総合医療センター外科
キーワード:
左半結腸切除
,
副中結腸動脈
,
3D-CT
Keyword:
左半結腸切除
,
副中結腸動脈
,
3D-CT
pp.108-111
発行日 2022年10月22日
Published Date 2022/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213893
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近年では,手術機器の進歩および手技の向上により,進行結腸癌に対しての腹腔鏡下手術が施行されており,「大腸癌治療ガイドライン」でも大腸癌手術の選択肢の1つとして行うことを弱く推奨している(推奨度2・エビデンスレベルB)1).しかし,本邦で施行された腹腔鏡下結腸癌手術の開腹手術に対する大規模ランダム化比較試験であるJCOG0404試験では,横行結腸癌症例や下行結腸癌症例は対象から除外されており,また海外のランダム化比較試験の報告でも横行結腸癌は除外されている2〜4).これは,脾彎曲部近傍に首座を有する横行結腸癌や下行結腸癌に対しての手術は支配血管が多彩な解剖学的分岐形態を呈しており,的確なリンパ節郭清と適切な血管処理を行うに際して郭清手技が高度であるためである.よって,左半結腸切除術の適応となる症例においては,腹腔鏡下手術もしくは開腹手術のどちらの術式でも,術前からの他臓器との位置関係や血管走行などの把握を行うことが重要であり,術前画像診断は治療方針および方法の決定に非常に大きな役割は果たす.
本稿では左半結腸切除術を施行するために術前に把握しておくべき局所解剖,隣接する臓器および血管について重要なポイントとして,①腹腔鏡下手術の際や早期癌症例などの小さな病変に対して手術を行う際には腫瘍の存在位置を正確に把握するために術前の下部消化管内視鏡による点墨やクリッピングが必要となること,②脾彎曲部近傍の横行結腸や下行結腸の支配血管解剖は多彩であるため術前の3D-CT angiographyでの評価が重要であること,の2点について解説する.
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