病院めぐり
伊賀市立上野総合市民病院外科
三枝 晋
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1伊賀市立上野総合市民病院外科
pp.1104
発行日 2022年9月20日
Published Date 2022/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213833
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伊賀市立上野総合市民病院(281床)は,1955年4月,上野市民医院として発足して以後,65年以上にわたり,伊賀の地域医療を担う中核病院として,日々の診療を行っています.総合病院と言いつつも,常勤医は20名前後であり,綱渡りの日々が続いています.当院の地理的条件からいえば僻地ではありませんが,医師の充足という観点からいえば僻地かもしれません.都会の大規模病院では,勤務医が増加しているにもかかわらず,地方の中小規模病院では,医師確保に頭を抱えているのが現状であり,医師の偏在は顕著になっています.当院も,その影響をまともに受けている病院の一つです.
伊賀市は,三重県北西部に位置し,北は滋賀県,西は京都府,奈良県に接しています.したがって,伊賀市から県外への患者の流出は否めません.三重県地域医療構想では,2025年度の伊賀地区からの県外医療機関への流出は,急性期・回復期を含め,73人/日と予想されています.この流出を抑えるためには,安全で質の高い医療の提供,地域医療の底上げ,地域住民の信頼を得なければなりません.それは,当科においても同様です.患者の流出に歯止めをかけるためには,我々の医療の質の向上もさることながら,地方病院においても,標準的な治療が日常的に行われ,地域で完結できることを,時間をかけ,周知・情報発信していく必要もあると考えます.
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