How to start up 縦隔鏡下食道亜全摘・4
上縦隔腹側1—気管の左側と食道右側,右迷走神経
森 和彦
1
,
瀬戸 泰之
2
Kazuhiko MORI
1
1三井記念病院消化器外科
2東京大学医学部附属病院胃食道外科
pp.455-461
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213686
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▶上縦隔食道腹側のスペースについて
食道周囲の組織は臓器鞘に沿ってその内側を収穫する,という点では背側と同じであるが,食道腹側には郭清すべき組織がたっぷりとある.食道は気管の背側より左に偏在してはみ出しているため,食道腹側の郭清すべき組織は気管の左側にあり,ここには左反回神経とともに郭清効果指数(efficacy index)の高いリンパ節が含まれる.食道腹側操作での臓器鞘に対する意識は食道背側よりも大切で,臓器鞘に沿った剝離を行い,食道側の組織を残らずen blocにする.以後の記載では,特に腹側の臓器鞘を「天井」と表現する.
食道腹側では「天井」および左側の臓器鞘を貫くようにして血管や神経の小枝が入ってくるが,図1aの緑破線に沿って血管や神経が疎となる組織間隙がある.疎な部分の剝離を先に終えると神経,血管の小枝が残され,これらを反回神経に障害を与えることなくシールカットすることで,無血術野を保つことができる.
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