How to start up 縦隔鏡下食道亜全摘・3
頸部縦隔鏡操作の概要,食道背側操作
森 和彦
1
,
瀬戸 泰之
2
Kazuhiko MORI
1
1三井記念病院消化器外科
2東京大学医学部附属病院胃食道外科
pp.338-346
発行日 2022年3月20日
Published Date 2022/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213659
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頸部縦隔鏡操作の概要
頸部縦隔鏡の必要最小限のタスクは,気管気管支および左反回神経と,食道および領域リンパ節の完全な分離,つまり上縦隔における食道の全周,全長の剝離である.さらに,中縦隔には経裂孔操作が及びづらいので,頸部縦隔鏡で可能な限り尾側まで剝離を行っておく.
食道の各方向にある解剖が見え始める前にその存在に関して十分に認識できるように図1を活用していただきたい.概ね,①食道背側,②③食道右側,④臓器鞘,⑤大動脈弓内側の順に上縦隔剝離操作を進める.①は食道背面の筋層に沿って,②は気管の左壁に沿っての剝離なので迷いなく進められ,③は①と②でできた空洞に挟まれた板状の組織を鋭的にシールカットする形となり,これも容易である.一方,④と⑤には細い気管支動脈,反回神経に向かう神経の小枝および随伴する主血管があるため,剝離はやや困難である.①と③の剝離は上縦隔にとどまらず中縦隔に至るまで,続けて進めることが容易である.
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