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特集 肝胆膵術後合併症—どう防ぐ? どう対処する?
肝臓外科
門脈吻合部狭窄・血栓症
Stenosis and thrombosis of portal vein after liver surgery
原田 昇
1
,
吉住 朋晴
1
,
松浦 俊治
2
Noboru HARADA
1
1九州大学大学院消化器総合外科
2九州大学大学院小児外科
キーワード:
門脈吻合部狭窄症
,
門脈血管造影
,
門脈血栓症
Keyword:
門脈吻合部狭窄症
,
門脈血管造影
,
門脈血栓症
pp.282-287
発行日 2022年3月20日
Published Date 2022/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213644
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【ポイント】
◆肝臓外科術後の門脈吻合部狭窄は,稀な合併症ではあるが,肝切除に付随して門脈腫瘍栓などによる門脈合併切除再建後,そして肝移植における門脈吻合再建後に認められることは周知のことである.
◆手術技術的に早期に門脈吻合部狭窄が認められる場合と晩期に血管の線維化や腫瘍再発,浸潤,門脈血栓などによって門脈吻合部狭窄が認められる場合に大きく分けられる.
◆周術期における門脈吻合部狭窄は,腸管うっ血・難治性腹水・肝機能障害などの原因となり,周術期管理において不利益となる.急速に門脈血流が障害されると,肝不全・播種性血管内凝固症候群といった重篤な病態に陥ってしまうため,早期発見・早期治療が不可欠である.また慢性期に移行し,血栓が基質化すると,門脈圧亢進症を発症し,食道および胃静脈瘤を発生させ,静脈瘤出血を引き起こす.
◆診断は非侵襲的で感度も高い超音波検査を中心に,採血およびCT/MRI,直接門脈血管造影も併用して総合的に行う.
◆治療としては,門脈ステントによる血管内治療,血栓症であれば抗凝固療法や外科的治療も選択肢となるが,依然確立された治療方針はない.本稿ではこれまでの報告に基づき,門脈吻合部狭窄・血栓症について概説したい.
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