増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル
Ⅳ章 術後合併症とその管理
B 系統別術後合併症の管理ポイント
血液凝固系
門脈血栓症
長尾 吉泰
1
,
原田 昇
1
,
吉屋 匠平
1
,
武石 一樹
1
,
戸島 剛男
1
,
伊藤 心二
1
,
池上 徹
1
,
吉住 朋晴
1
,
森 正樹
1
Yoshihiro NAGAO
1
1九州大学大学院消化器総合外科
pp.324-328
発行日 2019年10月22日
Published Date 2019/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212734
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周術期における門脈血栓症は,腸管うっ血・難治性腹水・肝機能障害などの原因となり,周術期管理において不利益となる.急速に門脈血流が障害されると,肝不全・播種性血管内凝固症候群といった重篤な病態に陥ってしまうため,早期発見・早期治療が不可欠である.また慢性期に移行し,血栓が器質化すると,門脈圧亢進症を発症し,食道および胃静脈瘤を発生させ,静脈瘤出血を引き起こす.
診断は非侵襲的で感度も高い超音波検査を中心に,採血およびCT/MRIも併用して総合的に行う.治療としては,抗凝固療法が中心となるが,時には血管内治療や外科的治療も選択肢となる.依然確立された治療方針はないが,本稿ではこれまでの報告に基づき,門脈血栓症について概説したい.
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