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Step1 開腹適応,開腹方法
胆囊摘出術の標準治療は腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy:LC)で,国内では広く一般的に施行されている.Tokyo Guidelines 2018(TG18)では,Calot三角の適切な展開を行い,これをランドマークとして視認したときに,同部に剝離不能な瘢痕化や線維化がありcritical view of safety(CVS)が得られない場合,回避手術(bailout procedure)を考慮すべきとされている1).Bailout procedureとしてopen conversionとsubtotal cholecystectomyが記載され,bile duct injury(BDI)を減少させるとしている.しかし,bailout procedureとしてopen conversionを選択したとしても,高度炎症例では熟練した外科医でも操作に難渋し,BDI回避のために開腹でのsubtotal cholecystectomyを選択せざるを得ない状況に遭遇することもある.Open conversionの場合の皮膚切開は上腹部正中切開のみで視野確保できることが多いが,上腹部手術既往がある場合や高度肥満例ではその限りではなく,上腹部正中切開に肋骨弓下切開の追加が必要になる場合もある.多くの場合,腹腔鏡下アプローチで手術が開始され,腹腔内を確認していることが想定されるので,腹腔内の状況に応じて十分な視野が確保できるように皮膚切開を選択しなければならない.Open conversionでbailout surgeryを選択するような症例は敗血症を伴っていることも少なくなく,短時間で副損傷を起こさずに手術を終了させる必要がある.
症例をシェーマで示す.図1の症例はlaparoscopic cholecystectomyで手術開始したが,胆囊周囲の癒着が高度であったためopen conversionとした.上腹部正中切開のみでは術野展開困難と判断し,上腹部小切開に右肋骨弓下切開を追加し開腹している.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
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