書評
—三毛牧夫(著)—外科基本手技とエビデンスからときほぐす—レジデントのためのヘルニア手術
今村 清隆
1
1手稲渓仁会病院外科
pp.1091
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213441
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2014年4月に前任の外科初期研修担当の指導医から引き継ぐにあたり,当時の外科部長と2人で全国にあるいくつかの有名研修病院の外科研修システムの見学に出かけた.同年1月に亀田総合病院を訪問した際にシミュレーションセンターを見学した.そこに,『Chassin's Operative Strategy in General Surgery, 4th edition』(Springer,2014)がさりげなく置いてあった.当時Surgeryと名がつく教科書を買い漁っていた自分以外に,“誰かがこの本を読んでいる”ことに驚いた.この本には無影灯の正しい使用法や,手術をする際の姿勢の重要性についてなど手術の基本についての細かい説明があったからだ.本書『外科基本手技とエビデンスからときほぐすレジデントのためのヘルニア手術』著者の三毛牧夫先生が当時,亀田総合病院の外科部長をされていたことを思い出し,本書でも個々の手術手技だけでなくもっと基本的なところから書かれている点が似ていると感じた.
将来,後輩に外科を教える人は,必ず外科基本手技については一通り勉強してほしい.また,現在に至るまでの外科の歴史についても関心を持ち,後輩に自分の好み(Preference)だけではなく外科の原則(Principle)を教えるようにする必要がある.もちろんそれだけでは不十分で,本田宗一郎が「過去を大事にして,そればっかりにつかまっている人が職人だ.同じ過去でも,それに新しい理論を積み重ねて,日々前進する人が技術屋だ」と話していたように1),われわれも外科医として明日に向けて研鑽を重ねる必要がある.
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