書評
—加納宣康(監修) 三毛牧夫(著)—正しい膜構造の理解からとらえなおす—ヘルニア手術のエッセンス
三澤 健之
1,2
1東京慈恵会医科大・外科学
2東京慈恵会医科大附属柏病院外科
pp.877
発行日 2015年7月20日
Published Date 2015/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210816
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著者のヘルニア診療に対する信念と情熱までもが伝わってくる圧巻の一冊である.本書は,長年,第一線で実地臨床と若手教育に携わってきた外科医師による入魂の書であるといえよう.本書にはヘルニアに関する言葉の定義から,分類,歴史,発生学,解剖,診断,治療に至るまで,ヘルニア学のおよそすべてが収められている.しかも各項における著者の理論展開は合計475編という膨大な量の参考文献の精読に基づいているため,若手外科医のみならずベテラン外科医にとってもヘルニアに関するあらゆるエビデンスを知ることができる内容となっている.近年,へルニア修復用の類似のデバイスが相次いで登場し,それに踊らされるように安易に治療方針を変更する向きがある中で,本書のような体系的な成書を通じてヘルニア学の奥の深さをあらためて認識することはことさら重要であろう.また,本書の特色としてもう一つ忘れてはならないのが,著者の知人の筆によるシェーマの美しさと精密さにある.ここにも著者の強いこだわりが伺える.
本書は,基礎編と応用編に分かれる.
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