坂の上のラパ肝・胆・膵・6
肝右葉切除術
大目 祐介
1
,
本田 五郎
1
Yusuke OME
1
,
Goro HONDA
1
1新東京病院 消化器外科
pp.736-746
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212970
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Point
◆肝右葉切除術において,肝実質離断中に正しい離断方向を知るための有用なランドマークは肝部下大静脈(IVC)と中肝静脈(MHV),肝表のdemarcation lineの3つである.
◆Caudate lobe-first approachでは,腹腔鏡特有の尾側背側からの視野を活用して尾状葉を先行離断し,ランドマークの一つであるIVCの腹側面と右Glisson茎の背側面を露出する.
◆胆囊を胆囊板とともに胆囊床から剝離し,尾側に牽引しながら肝門板頭側と肝実質の間を鈍的に剝離すると,右Glisson茎は,その背側がCaudate lobe-first approachによってすでに開かれているので容易に確保できる.
◆肝門のGlisson茎が離断された後は,Caudate lobe-first approachによって露出されたIVC腹側面がランドマークとして常に視認可能となる.
◆肝実質離断は尾側から頭側へ向かって本を開くようなイメージで進める.Glisson枝と肝静脈はいずれも肝背側(肝門側・IVC側)から腹側に向かって枝を広げているので,超音波外科吸引装置(CUSA)の先端を背側から腹側に向かって振り上げるように動かすことで分岐部の股裂き損傷を回避する.
◆肝門部脈管処理は,Glisson一括処理を基本とするが,腫瘍そのものや腫瘍の脈管(門脈や胆管)浸潤部の先端が肝門に近接した症例では個別処理を選択することがある(個別処理の手技の解説は別途記載した).
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