特集 膵癌診療ガイドライン改訂を外科医はこう読み解く—ディベート&ディスカッション
テーマ11:ディベート
十二指腸狭窄に対する治療法—十二指腸ステント留置 vs 胃空腸吻合
小林 智
1
,
宮坂 義浩
2,3
,
大塚 隆生
3
,
渡邉 雄介
3
,
森 泰寿
3
,
池永 直樹
3
,
仲田 興平
3
,
渡部 雅人
2
,
中村 雅史
3
Satoshi KOBAYASHI
1
,
Yoshihiro MIYASAKA
2,3
1神奈川県立がんセンター消化器内科肝胆膵
2福岡大学筑紫病院外科
3九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科
キーワード:
経口摂取
,
化学療法
,
食事制限
,
膵癌
,
十二指腸狭窄
,
胃十二指腸吻合
Keyword:
経口摂取
,
化学療法
,
食事制限
,
膵癌
,
十二指腸狭窄
,
胃十二指腸吻合
pp.723-730
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212967
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
内視鏡的十二指腸ステント留置術は,速やかに実施でき,効果も速やかに得られる点がメリットである.このため,ステント留置後にスムーズに化学療法へ移行できる.また,侵襲性が低く,重大な合併症が少ないため適応も広い.一方で,腫瘍浸潤によるステント閉塞,またはステント逸脱といったステント機能不全が十二指腸ステントの最も多い合併症であり,食物残渣によるステント閉塞も起こりうるため,食事制限が必要である点がデメリットである.しかし,ステント機能不全に対しても,再度ステントを留置すればすぐに経口摂取を再開できるため,ステント機能不全は軽微な合併症と考えられる.以上のことから,化学療法の実施予定有無にかかわらず,予後の悪い膵癌に対しては,胃空腸バイパスよりも十二指腸ステント留置を選択したい.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.