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特集 膵癌診療ガイドライン改訂を外科医はこう読み解く—ディベート&ディスカッション
テーマ1:ディスカッション
切除可能膵癌に対する術前化学療法の手術先行に対する優越性
Superiority of neoadjuvant chemotherapy over up-front surgery for resectable pancreatic cancer
元井 冬彦
1,2
,
海野 倫明
1
Fuyuhiko MOTOI
1,2
1東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座消化器外科学分野
2山形大学大学院医学系研究科医学専攻外科学第一講座
キーワード:
切除可能膵癌
,
術前化学療法
,
治療企図
Keyword:
切除可能膵癌
,
術前化学療法
,
治療企図
pp.650-657
発行日 2020年6月20日
Published Date 2020/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212954
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【ポイント】
◆術前化学療法のメリット:術前化学療法は,早期から不顕性転移に対する治療が可能である.治療により切除後の再発率を低下させ,生存率を向上させることが術前化学療法の最大の利点である.切除可能膵癌には結果的に切除されない症例も含まれるが,術前化学療法は治療を企図した症例全体の予後を改善する.治療期間中に不顕性転移が顕性化する場合,無効な手術を回避でき,手術無効例に対しても最善の治療が提供できる.
◆デメリットと対処法:化学療法による有害事象が生じるため,投与中の評価と副作用対策が必要である.手術先行に比べ待機期間が延長するため,減黄中の症例ではステント閉塞・胆管炎に留意する.治療後の再評価で無効な場合,レジメン変更が必要となる.
◆術前化学療法の適応:腫瘤を同定できる切除可能膵癌では,すべての症例で術前化学療法を検討すべきである.高齢者や上述のデメリットが予想される場合,適応を再考する必要があり,上皮内癌や微小な膵癌に対する意義は明らかにされていない.
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