書評
—花田敬士,植木敏晴,他(編著)—画像所見のよみ方と鑑別診断—胆・膵 第2版
入澤 篤志
1
1獨協医科大学・内科学(消化器)
pp.375
発行日 2020年3月20日
Published Date 2020/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212890
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近年のInterventional EUSの進歩は胆膵診療に大きな変革をもたらしました.現在では診断的穿刺(EUS-guided fine-needle aspiration:EUS-FNA)のみならず,Walled-off necrosisや膵仮性囊胞,胆道に対するドレナージなど,さまざまな治療にも広く応用されています.私は膵腫瘍などの診断に際しては,本邦におけるEUS-FNAの黎明期のころから同手技を行ってきました.EUS-FNAは膵腫瘍の鑑別診断においては極めて有用な手技であり,現在では胆膵領域診療において欠かせない手技の一つとなっています.
しかしながら,EUS-FNAといえど万能ではありません.例えば,当初は悪性を疑いながらもEUS-FNA結果が非悪性であった場合には偽陰性の可能性も考慮しなくてはならず,経過観察するか,もしくは再度のEUS-FNAを施行するかといった判断には,画像診断が極めて重要な役割を果たします.私はEUS-FNAを行えば行うほど,画像診断がいかに重要であるかを幾度となく認識させられてきました.また,治療方針決定に際しては,その病態の良悪性を診断するだけでなく,悪性であればその進展範囲を正確につかむ必要がありますし,良性の場合はその原因についても深く考察しなくてはなりません.また,胆道病変や膵囊胞性病変に対するEUS-FNAの適応はかなり限られています.さらには,ドレナージなどのEUS下治療に関しても,画像からその適応をしっかりと考慮する必要があります.
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