FOCUS
臨床研究実施に必要な倫理審査—公正な研究をめざして
江花 有亮
1
,
吉田 雅幸
1
Yusuke EBANA
1
1東京医科歯科大学生命倫理研究センター
pp.1490-1493
発行日 2019年12月20日
Published Date 2019/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212789
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はじめに
日本の医療は日々進歩を遂げている.日々新しい医療が提案され,これまで対処が困難であった疾病にも診断あるいは治療の選択肢が増えてきた.日常診療で用いられる医薬品や術式,医療機器などはすべてある一定の基準を満たしたものであり,それゆえ患者に安心・安全な医療を施すことができる.新しい医療行為について,その有効性や安全性を評価する過程が臨床研究である.臨床研究においては通常の医療行為を超えた医療行為をするという認識が重要である.患者に医療行為を施すときには必ず,用いる医薬品や医療機器の添付文書(説明書)を読んでから実施するであろうし,あるいは疾病の二次予防や治療などの場合,多くの論文をもとに作成されたガイドラインを参考に,数多く存在する医薬品の中から治療薬を選択しているであろう.一方,臨床研究において使用される試験薬や医療機器は,情報が蓄積されている既存薬などと比べ,情報が限られており,副作用や合併症を予測しきれないことがある.使用に当たっては副作用(有害事象)が発生したときのことを含めて,事前に想定し対処法を考えておかなければいけない.本稿では,臨床研究を実施するにあたり,知っておくべき法令・指針について述べる.
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