FOCUS
リキッドバイオプシーの新展開
飯沼 久恵
1
,
橋口 陽二郞
1
Hisae IINUMA
1
1帝京大学医学部外科
pp.498-504
発行日 2019年4月20日
Published Date 2019/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212449
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はじめに
近年,疾患部位の組織ではなく,血液,尿,唾液といった体液を用いて診断を行うリキッドバイオプシーが注目されている.特に,プレシジョンメデイシンによるゲノム医療が現実のものとなってきた今,組織での遺伝子解析に留まらず,リキッドバイオプシーへの展開が期待されている.リキッドバイオプシーの利点として,まず患者に低侵襲であること,さらに腫瘍組織の採取が困難ながん患者でも診断や治療薬選択の可能性が広がること,継続した治療効果のモニタリングが行えることなどが挙げられる.これまで,リキッドバイオプシーの対象として,血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cell:CTC),cell free DNA(cfDNA)や腫瘍細胞由来DNA(circulating tumor cell DNA:ctDNA),エクソソーム(exosome)とそこに内包されている核酸(microRNA, mRNA)やタンパク質などが報告されている.本稿では,これらのバイオマーカーの特徴と,新たな展開および今後の課題などを概説する.
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