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エクソソーム・リキッドバイオプシーによるがん検査
吉岡 祐亮
1
1東京医科大学医学総合研究所分子細胞治療研究部門
pp.1200-1203
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543209494
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リキッドバイオプシー
ヒトは体重の60%程度は水分で構成されており,体重の約20%は細胞外に存在する,つまり体液として生体内に存在していることになる.体液は,ただ水が流れているわけではなく,血球細胞やさまざまな物質を含んでいる.リキッドバイオプシーとは,liquid(体液)+biopsy(生検)という言葉から成り立っている.Biopsyは生検と日本語訳されることが多いが,bio(生命,生体)+cpsy(目,視る)という言葉を語源としてもつため,体の状態を診るというニュアンスを含む.つまり,リキッドバイプシーとは体液に含まれる何かしらの物質や成分を利用して体の状態を診ることを指す言葉として用いられている.現在,リキッドバイオプシーとして血液中を循環するがん細胞(CTC:circulating tumor cells)やゲノム(ctDNA:circulating tumor DNAもしくはcfDNA:cell free DNA)を検出・解析することでがんの診断や薬剤の投与選択に使用されている1).すなわち,バイオマーカーや腫瘍マーカーのような役割を担うものの中で体液中の物質を解析対象としているものである.リキッドバイオプシーの解析対象物質は微量であることが多く,組織生検に比べて感度や特異性が低いとされている.しかし,リキッドバイオプシーは,比較的侵襲性の低い方法で血液や尿,唾液などの解析試料を採取でき,組織生検と比較して迅速かつ繰り返し検査できる利点がある.従って,診断の補助を行うという点で優れており,従来の組織生検と組み合わせることで,より包括的な診断や治療計画を立てることが可能である.
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