トピックス
リキッドバイオプシーの現況
西尾 和人
1
,
坂井 和子
1
1近畿大学医学部ゲノム生物学
pp.830-833
発行日 2018年8月1日
Published Date 2018/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207285
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リキッドバイオプシーとは
liquid biopsyという言葉が欧米で用いられるようになり,近年,わが国でもリキッドバイオプシーという用語が汎用されるようになってきた.“液性検査”と和訳され,血液サンプルを用いた遺伝子検査を指すことが多い.液性検体のため,血液以外にも尿,唾液,胸水,腹水,脳脊髄液なども用いられる.一方,従来の血液腫瘍マーカーは蛋白質,ペプチドなどを解析するのでリキッドバイオプシーとは称されない.
リキッドバイオプシーはさまざまな疾患で臨床応用が検討されており,特に癌領域では大変注目されている.癌は,腫瘍の増殖,進展などを制御する遺伝子の変化の蓄積により発生するため,癌における遺伝子異常を検出し,治療につなげるコンパニオン診断,癌ゲノム医療がこれからの精密医療には重要である.しかし,腫瘍は非常に不均一であり,治療経過中に変化する.また,固形癌では,一般的に治療経過中に複数回の遺伝子検査を実施するための腫瘍組織の侵襲的な再生検は困難である.そこで,主に血液中に存在する腫瘍由来物質を用いた遺伝子変化の検出が行われている.
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