Reduced Port Surgery—制限克服のための達人からの提言・1【新連載】
総論—Reduced Port Surgeryの歴史と現況
森 俊幸
1
,
橋本 佳和
1
,
正木 忠彦
1
,
杉山 政則
1
Toshiyuki MORI
1
1杏林大学外科(消化器一般)
pp.82-87
発行日 2018年1月20日
Published Date 2018/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211912
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はじめに
腹腔鏡下手術が低侵襲である最大の要因は,正常体壁の損傷低減である.1980年代末に報告された腹腔鏡下胆摘術は,カメラ用に12 mmポート,手術器械のためのワーキングポートは11 mmを1本,5 mmを2本用いる4ポート法であり,まずこの術式が標準となった.開腹手術に比較するとこの術式の低侵襲性は顕著であり,術後在院期間や社会復帰に要する時間は短縮され,外科治療に革新をもたらした.多くのパイオニア達は,さらなる術式の低侵襲化を企図した術式を考案・発表した.これらの試みは,ポートの減数,ポートの細径化,正常体壁をまったく損傷しない経消化管や経腟による手術(natural orifice translumenal endoscopic surgery:NOTES)に分類可能であろう.それぞれの試みには長所,短所があり,いずれも単独では,従来の4孔式手術を凌駕する術式とはなりえなかった.しかしながら2000年代になると,これらの方法の長所,短所は相補的であり,複数の方法の混用により手術難度が劇的に下がることが見出され,複数のモダリティを混用する術式がreduced port surgery(RPS)と総称されるようになった.
本稿では,源流となった単孔式手術,needlescopic surgery,NOTESを概観し,その融合形であるRPSのコンセプトや現況について述べていきたい.
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