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本邦においても徐々にダイバーシティの取り組みが進み,日本消化器外科学会をはじめ,いくつかの外科系学会では女性理事枠を設けるようになっています.私は現在IHPBA(International Hepato-Pancreato-Biliary Association)の理事を拝命しており,シンガポールで開催が予定されているIHPBA 2026(10月28日〜31日,ぜひご参加お願いいたします)のScientific Program Committeeの委員長を任されております.そこでは講演演者を決める際に一定の女性比率が定められています.IHPBA 2022 New Yorkでは26%,IHPBA 2024 Cape Townでは32%であり,今回は38%を目指しています.男性にとっては徐々に講演枠が狭き門となるわけですが,学会としての取り組みなのでご理解いただきたいと思います.一方,女性からみると単に比率が増えるだけでは十分とはいえず,内容にも改善が必要だと感じているようです.それは,いわゆるMaster VideoやTechnical Videoに女性が選ばれないという点です.これは私も同意見で,女性だから高難度のゴッツい手術ができないというのは偏見以外のなにものでもありません.私自身,会議中に指摘されて目から鱗が落ちた気がしました.ガラスの天井みたいなものですね.それと,世界のなかでもAsia-Pacificは女性外科医が少ないのです.日本にも優秀な女性外科医は沢山います.彼女たちのよりいっそうの飛躍を期待したいと思います.それがなければ日本の外科が世界から取り残され沈下していくことは目に見えています.

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