FOCUS
PAMPsとDAMPs—敗血症で臓器不全に至るメカニズム
伊藤 隆史
1,2
Takashi ITO
1,2
1鹿児島大学病院救命救急センター
2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科システム血栓制御学講座
pp.1496-1501
発行日 2017年12月20日
Published Date 2017/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211889
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はじめに
敗血症の病態をどのように捉えればいいだろうか? ウィリアム・オスラー博士は1904年に出版した著書の中で,以下のように述べている.“Except on few occasions, the patient appears to die from the body's response to infection rather than from it”.重症感染症に罹患した際,感染そのもの,すなわち微生物のふるまいによって死に至るケースもあるが,多くの場合,感染に対する宿主の応答によって死に至るのだと.それから90年の時を経て,敗血症は「感染によって発症した全身性炎症反応症候群(SIRS)」と定義された.しかしながら,炎症が敗血症病態のすべてではないこと,SIRSの基準を満たすからといって必ずしも重症病態とは限らないこと,逆に,高齢者などの場合は,重症であってもSIRS基準を満たさない場合があること,などの問題点が提起された.そして2016年,「感染に対する制御不能な宿主応答により,生命を脅かすような臓器障害を引き起こした状態」という敗血症の新定義が発表された(図1)1).
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