増刊号 手術ステップごとに理解する—標準術式アトラス
6 胆・膵
膵全摘術
竹山 宜典
1
Yoshifumi TAKEYAMA
1
1近畿大学医学部外科 肝胆膵部門
pp.281-289
発行日 2017年10月22日
Published Date 2017/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211824
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膵は,膵内外分泌を通じて生存に必要不可欠な臓器で,術後の膵内外分泌の補充なしには膵は全摘できない.世界初の膵全摘例は1943年に通常型膵癌に対して行われているが1),そのときすでに予想よりも必要インスリン量が大幅に少なかったことが問題視されている.その後長らく,本術式の術後QOL不良が問題とされてきたが,最近ではリコンビナントインスリンと高単位消化薬により,術後のQOL保持が可能となってきた2).
一方,膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)が多く発見されるようになり,主膵管型や多発分枝型症例における膵全摘術適応例が増加している3).さらに,膵切除後の残膵における異時性腫瘍発生に対して,膵全摘術を施行する例も増加傾向にある.
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